生体肝移植後に患者死亡

立ち入り検査

0b7ceb1276ce307f9044b15e227ed397_s神戸では生体肝移植後に患者の死亡が相次いだという問題がありました。
神戸国際フロンティアメディカルセンターでは、立ち入り検査が行われ、問題が表面化されました。

一度は医療体制を問題なしとしていましたが、専門家の指摘を受け検査に踏み切ったそうです。
市が進めている医療産業都市構想の中核施設で、なぜ死亡が相次いだのか。
どういった指導監督を行うのか注目されています。

神戸市市長は、神戸国際フロンティアメディカルセンターに対して、医療産業都市で果たす役割には期待をしているから、説明責任を果たしてほしいと述べています。
また、国の方針に従い医療法に基づく権限は厳正に行いたいとしています。

神戸市関係者によると、立ち入り検査は厚生労働省の助言を受け、市議員に加え移植医療に詳しい外部専門家が参加した、異例の体制だったそうです。
人選や日程調整などで時間が必要となり、検査は何度も延長されました。

神戸国際フロンティアメディカルセンターは検査の前、移植を延長していた患者への手術を実施。
そして患者は20時間後に死亡しました。

県医師会の幹部は、その患者の死亡も含めて「厳正な検査を行い根本的な改善の指導を」と求めたそうです。
生体肝移植の中止を求めていたものの、再開され残念な結果となり、更に問題が深刻となりました。

立ち入り検査結果と神戸市の見解

神戸国際フロンティアメディカルセンターでは、生体肝移植手術を9人が受けました。
そのうち5人が術後1か月以内に死亡し、立ち入り検査へと踏み切られたわけです。
神戸市は会見を開き、その立ち入り検査の結果を公表しています。

院内の安全管理体制についての問題を指摘して、改善計画の提出を求めました。
死亡との因果関係については、判断を避けていました。

立ち入り検査では、患者のカルテを開示させ院長を含め約20人から聞き取り調査を行っています。
人員や設備は適正か?安全管理に不備がないかなどが調べられています。

神戸市によると、手術後のドナーに合併症が生じて、治療が必要となった事例が複数ありました。
それが院内ある医療安全委員会に伝えられていなかったため、それを機に報告体制の充実化を図るよう指摘されています。

死亡が相次いだことをに重く受け止め、医療法に基づく私的とは別にコメントを発表。
患者らが手術の適正対象として妥協かどうか検討する評価委員会側の議事録が十分ではないとコメントを残しています。

神戸国際フロンティアメディカルセンターは、同月に改善計画書を提出しています。
行政指導やその他の不備3点を口頭で指摘したものの、改善計画書には指摘部分に対する記載はなかったそうです。

そもそも生体肝移植を受けられる専門施設は少なく、重度の肝疾患の場合移植手術を断られるという病院も少なくはありません。
そこで、手術を受けられる病院があるということは、患者やその家族にとっては明るい未来へと進むための希望でもあるのです。

そこで、日本移植学会では、日本の移植医療の信用が失われると懸念を示していますが、反対に患者が治療を選択できる機会を奪われると信用も守れない、という意見もあります。
神戸市の肝移植を受けた患者や家族らが作るNPO法人は、生体肝移植の継続を求める声明を発表しています。
今後、死亡などの問題が起こらないことを願うばかりですが、しっかりと問題の解明、そして適正な改善を行ってほしいですね。